壁紙を剥がすと通常なら下紙(裏打紙)という薄紙が必ず残ります。
2回貼り替えたら2枚分、3回なら3枚分と貼り替え度に増えていきます。
この下紙の存在が結構重要で失敗の原因の一つになります。この2~3回分の下紙のある状況で柄モノ壁紙や薄い壁紙など貼り替えに適していない壁紙を使用すると失敗も多くなります。失敗の原因はいくつかに分けて考えていく必要があります。
1つ目は材料選定の失敗。壁紙は豊富な種類があるのですが、その中でも施工が簡単な壁紙から難しい壁紙はまであります。それと貼り替えに使うには適していない壁紙もあります。これはサンゲツなどのメーカーも認めています。ですのでリフォーム用(貼り替え用)の見本帳を発行しています。このリフォーム用の壁紙は壁紙も厚みや柔らかさもありDIYでも比較的貼りやすい壁紙になります。
2つ目は下地調整の失敗です。普通の貼り替えで失敗の一つの要因は下紙の存在。貼り替えには貼り替えに適したパテを使用するのがベストです。こちらにDIYの壁紙貼りなど参考になるクロス(壁紙)お悩み相談 をまとめていますので読んでくださればと思います。元の下地がペンキ下地、砂壁や繊維壁、プリント合板(化粧ボード)、などは壁紙を貼る前にしっかりした下地を作らなければなりません。しっかりとした下地ができれば次の貼り替えでは剥がしたら下紙が残りますので再び下地を作る必要はありません。下地の作り方は下記の文章などを参考にしてください。
3つ目は技術の失敗と専用工具になります。壁紙貼りは人の手でしか仕上げることはできません。DIYでも同じです。DIYの場合は頻繁に行う作業ではないので多少の失敗は仕方ないと思っています。技術の問題はセンスでもあるのでセンスある人はDIYでも上手く貼れると思います。そういう方もいればなかなか上手くできない方も多いかと思います。そういう方こそ専用工具を試して欲しいです。おまけで付いているような工具やおもちゃみたいな工具では綺麗に貼れるはずはないです。私はプロですのでいつも綺麗に仕上げるのは当然です。プロの自分でも安いおもちゃみたいな工具を使って貼ったら綺麗に仕上げられないと思います。それくらいに差があります。DIYとはいえ貼るからには綺麗に仕上げたい方は専用工具を使いこなして綺麗に仕上げよう(壁紙編)をお勧めします。
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壁紙を剥がしすぎてしまった…
壁紙を剥がすときに既存の壁紙だけ剥がしたかったのにボードの表面まで剥がれてしまった方も多いのでないでしょうか… これ仕方ないのです。失敗した訳ではなく誰が剥がしてもそうなってしまうのです。もちろん慣れた職人が剥がしてもそうなります。この現象は石膏ボードの裏打ち紙が弱いので既存の壁紙だけ剥がすつもりでも既存クロスと同化しているので難しいというか無理に近いです。当店は貼り替えで多くの現場に出向いています感覚的に10件中1~2件ありますので全く気にする必要はないです。
ですがこのまま貼ると下地が出たりボードのグレー色になっている箇所は比較的ザラザラなのでクロスの付きがよくありません。そういう箇所にはパテで下地調整をします。少量でしたらチューブ式のヤヨイ化学ホシュパテや水性リフォームパテで補修します。最近のクロス糊は強いのですが気になる方はシーラー処理しても良いかと思います。調整箇所が多い場合は水性のヤヨイ化学水性リフォームパテや溶剤系のヤヨイ化学リフォームパテなど使用します。
柄モノを貼るには要注意な下地とは
壁紙の中には柄物も多くあります。この商品は文字通り柄を合わす必要があり、柄を合わせて合わせ切り(重ね切り)をしますので強い力で切ると下紙まで切ってしまいます。(弱い力だと切れない)
下紙まで切ってしまった場合、対処しないでそのままにすると最初は綺麗に見えることもありますが、下地まで切ってしまった場合は状況に応じてクロスガードテープなどを入れてください。処理をしないでそのまま収めた場合は時間の経過でジョイントが目立ってきます。
さらにやっかいなのは下紙の下のパテにも影響する場合があることです。パテの質が悪かったり下紙が2枚以上ある場合などは要注意です。この状況で合わせ切りしたら必ずクロスガードテープを入れてください。そのまま収めてしまうと直すのはかなり大変になります。
柄物の壁紙でなくても合わせ切りしないと収まらない材料もあります。この場合も柄物同様に注意が必要です。
クロス(壁紙)お悩み相談室はこちら
繊維壁や砂壁から壁紙を貼るには
現在の住宅は壁紙で仕上げることが多くなりましたが、その昔は化粧ボードや繊維壁は砂壁なども多く使われていました。壁紙から壁紙の場合は特に問題はありませんが、化粧ボードから壁紙、繊維壁や砂壁から壁紙を貼るには下地調整が必要になります。そのまま貼れれば良いのですが必ず剥がれてきます。この場合の説明です。この方法を試す前に砂壁などは霧吹きで水をあてれば簡単に剥がれる場合もありますのでお試しください。
先ずは繊維壁(砂壁)からクロス下地の作り方。先ずは枠周りを全て紙テープなど貼り養生します。次にシーラーという副資材を全面に塗布します。シーラーにも下地に適したシーラーがありますが当店が推奨するシーラーはプラゾールSSです。これは正確にはシーラーではないのですが使い勝手が抜群に良いので使用している内装屋さんも多いです。もしくはシーアップというシーラーでも大丈夫です。プラゾールSSをなるべく濃い濃度で水と希釈します。プラゾールSS1に対して0.1~0.2ぐらいで希釈して全面に塗布(原液でもOK) 乾くまで1~2時間ぐらい待ちます。その後にパテをします。推奨するパテはヤヨイ化学のハイセメナという上パテです。もしくは最初から練ってあるパテの水性リフォームパテでも良いのですがパテはかなりの量を使用しますので経済的には粉パテの方が良いです。これも全面に塗布します。乾いたら(2時間ぐらい) 軽くサンダー掛けて下地の完成です。
もう一つのやり方、繊維壁や砂壁をカチカチに固めて強固な下地を作る方法です。下地の砂壁などがボロボロ剥がれてくる場合はその下の組んでいる下地が古い場合(小舞下地など)はヤヨイ化学のプライマーKという溶剤系のプライマーを使用します。これもしっかり養生して全面に塗布。乾燥後に全面パテという流れになります。このプライマーKは溶剤系なので下地に対しての浸透性が抜群に良く、砂壁がカチカチになります。なのでパテはこちらの方がやりやすいです。ですが少し高価になります。状況に応じて使い分けてください。
次は化粧ボードやペンキ下地の場合です。この場合でも流れ的にはプライマーからパテになりますが必ずしも全面パテは必要ないです。状況に応じてになります。化粧ボードは若干耐水性がありますのでシーラーの吸い込みが悪いと思います。ですのでイメージ的には膜を作るという感じになります。推奨するシーラーはプラゾールSSです。これも濃いめに希釈プラゾールSS1に対して水0.3ぐらいこれも全面に塗布。化粧の不陸がある箇所や薄い壁紙を貼る場合などはパテします。これは練りパテ水性リフォームパテか普通のリフォームパテで大丈夫です。これで下地が完成です。
ペンキ下地の場合は下のペンキが油性でも水性でもプラゾールSSで大丈夫です。水性の場合はシーアップでOKです。これも枠周り養生後、全面塗布。希釈割合はプラゾールSS1に対して水0.3ぐらいになります。乾燥後、不陸がある箇所に練りパテで下地調整します。
こういう場合はリフォーム推奨品か厚手の材料(無地)を貼るのが無難です。
失敗しない壁紙の選び方
ご説明しているように壁紙は豊富すぎる種類があり、壁紙の選定も面倒になることもあります。優先順位を付けて選ぶのが良いかと思います。先ずご自分でDIYで貼る場合は無地の壁紙をお勧めします。無地の壁紙はジョイントも収めやすく柔らかい壁紙も多いので貼りやすいです。特にお勧め壁紙 はこちら。その中から大まかな色見を決め織物調にするか石目調にするかブロック調にするか決めていくのが良いでしょう。後はリフォーム推奨品は基本厚めですので下地を拾う心配はないです。量産品でもサンゲツあんしんシリーズとかは厚み柔らかさ貼りやすい壁紙が揃っています。
一般家庭での壁紙貼り替え、見本帳を渡されても分からなかったり選べなくて困るとという声も聞きます。柄モノ壁紙を貼ってみたいけど飽きるからという声など色々と聞きます。見本帳には機能を項目別に分けて掲載しています。昨日を優先したい場合はその機能に掲載している壁紙から1つではなく何種類か選ぶことです。そして実際に貼る場合は実物サンプルを必ずもらい確認して決めましょう。失敗の原因の一つに見本帳のカタログから選んだけど小さすぎて実際に貼ってみたらイメージと違った。なんて話は多く聞きます。ですので最終候補の壁紙は必ずサンプルを貰うということになります。もちろんサンプルは無料です。
オシャレな部屋にしたい場合はアクセントクロスを使用しましょう。柄モノの壁紙でも部屋全体に貼るのではなく部屋の一部面に使うだけでかなりオシャレの部屋に生まれ変わります。トイレなんかでも正面に一面貼るだけでイメージが変わりますのでアクセントクロスを取り入れながら壁紙の選定をすると楽しくなりますよ。もちろん現物サンプルは忘れずに。
当店ではアクセントクロスを貼り替えに使用する場合は特別な料金は取っていません。例えば6帖間の場合アクセントクロスを入れたら2種類の壁紙を使用しますがトータルメートルの請求となります。要するに1種類の壁紙20メートル アクセントクロス10メートルでしたら30メートル分の請求になります。1種類の壁紙を使っても30メートルなので同じ金額になります。
次からは壁紙の補修の仕方の説明です。
ボード穴の補修方法
ボード穴の補修もDIYでも可能です。補修方法としては3通りあります。穴の大きさにより補修方法が変わります。当店の方でも補修動画は用意していますので良かったらご覧ください。
直径5ミリぐらいの小さな穴の場合はジョイントコークというコーキングでほぼ分からなくなります。ですが一番大事なのは適した色のジョイントコークを選ぶことになります。壁紙がホワイトだからジョイントコークのホワイトを選ぶと微妙に違ってくるのでワントーン濃いめの色を選択すると良いでしょう。経験的には白系壁紙にはライトアイボリー、ベージュ系壁紙にはニューベージュでだいたい収まります。
1~3㎝ぐらいの穴の場合はパテは使用しません。パテを使うにはリスクもあります。リスクの説明は次にします。この場合の直し方は直す壁紙の四方を紙テープなどを使い留めます。その後に紙テープをガイドにしながら四方を合わせ切りします。2枚切るぐらいの弱い力加減が理想です。その後にテープを剥がして四方に切った下の壁紙を剥がして切った壁紙を上から貼れば完全です。とは言え文章では伝わりにくいので動画を用意しますので少しお待ちください。
穴の大きさ10㎝前後の場合① この場合は穴はパテ埋めしないと収められません。先ずパテのリスクの説明です。下紙の下地によってパテをかけると下紙が膨れて面倒な状態になってしまうことも多くあります。それを回避する方法としてパテに硬化剤を混ぜて乾燥を早くして下紙を膨らむ前に処理してしまう方法です。慣れていないと難しいので自信のある方にはお勧めです。直し方は穴の空いた箇所にメッシュテープを貼ります。その上にパテかけして平らな下地を作ります。その後は上に書いてある要領で直します。
穴の大きさ10㎝前後の場合② この方法はメッシュテープの代わりにウォールパッチというアルミの板を貼り直すやり方です。方法としてはウォールパッチを貼る回りの壁紙を剥がして、メタルパッチの編み目部分をパテする方法となります。この場合もパテはしますが面倒な人はそのまま収めても大丈夫です。使用するパテも下紙が膨れてこないリフォームパテでも可能ですのでDIY向けで当店お勧めの補修方法です。ボード補修ウォールパッチ編1ボード補修ウォールパッチ2 – YouTube
穴の大きさが20㎝以上ありメタルパッチなどでは直らない場合です。この場合は下地に垂木を入れてボードを新しく張らないと直りません。ですがDIYで直せないことはないのです。文章で説明するより解説動画を見た方が分かりやすいので、ボード穴補修1(下地編) – YouTube) ボード穴補修2 – YouTube
クロスの継ぎ目が目立つ
失敗の一つにクロスの継ぎ目が目立つというのも多くあります。
クロスの幅は約92㎝なのですが酷い場合はその間隔でジョイントがハッキリと分かってしまいます。
ジョイントの収め方も突き付け(予め耳を揃えて切断している面を合わせる施工方)と合わせ切り(クロスを重ねて切る)があるのですが、合わせ切りの場合で下地の状況が悪いと発生することが多いです。何故ジョイントが目立ってしまうのか? 一つ目の理由は突きつけで収めても壁紙によっては収まりの悪い壁紙があるということ。二つ目の理由としてジョイントした下地が悪かった。壁紙の下地は主に石膏ボードになります。この石膏ボードの幅は約91㎝(3尺)ですので壁紙のジョイントとほぼ重なります。
石膏ボード張りも突きつけで張ります。ですので通常は91㎝間隔で目地があります。その目地を適したパテ(石膏系パテ)を使い下地を作ります。問題はこのパテになります。パテにも色々な種類と品質があり安価なパテもあります。安価なパテは基本、壁紙の糊が付かない。(この表現はかなり難しいし貼り替え現場を色々と経験しないと伝わらないと思います。) 要するに最初は付いていても経年で付きが悪くなったり一部しか付いていない状態の場合がある。このパテの上でジョイントをしてしまうとジョイントが開いたりしてしまうのです。だけど貼り替える時は下紙残っているので分からないですよね。
貼った時に開いてきた場合は接着していない下紙を剥がしてジョイントを収めた方が早いし綺麗に仕上がります。貼った後から開いてきた場合の補償方法は少し難しいです。先ずは破れないようにジョイント部分を剥がします。目安的には左右10㎝前後。その後にめくれている部分に糊を塗布、壁に塗布でもOKです。そうすると壁紙が水分を吸って少し伸びるのと融通が効く状態になるのでスムーサーとジョイントローラーを使いい合わせていくと直ると思います。この時にジョイントから糊がはみ出てくるくらいが理想です。はみ出てきた糊は拭き取ってください。